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最終更新日:2009年03月04日(月)

         川とあそぶ

 前までは、子どもは自然のなかで遊ぶことで、その自然の尊さやすばらしさを学んできました。
自然は時として危険の伴うものではあるけれど、そういう中で何が危険なのか、
どうすれば身を守れるのかということを自然と身に付けてきました。
 それなのに、このごろの親たちは、我が子を過保護にしすぎて自然から遠ざけ家で遊ぶことをすすめるようです。
保育園や幼稚園でも、時代の変化とともに屋内で遊ばせることが多くなってしまった、
ということをある家庭科の先生がいっていました。
また、そうでなくても、より安全な家の中でゲームやパソコンをして遊ぶことのほうが多くなってきている今日この頃です。
 子どもの頃は自然の中で夢中になって遊んでいたのに、大人になると忙しい世の中に流されて、自然の中にあった発見や喜びを忘れてしまう。
つまり、大人になってこの世の中にさらされると、子どもの頃は必然的に持っていた「sence of wonder」(自然の中で神秘さや、不思議さに目を見張る感性)が段々失われていってしまうようなのです。
いまみんなに必要なのは自然の中で遊ぶ、ということだと思います。

 と、かっこいいことをいってしまいましたが、みなさんは実際どうだったでしょう。
でも、近くに自然があるのは本当にいいことだと思います。

 僕は、家の周りに畑や田んぼがまだ残っていて、東京にしては珍しい田舎?の地域に住んでいます。
そして「野川」という都会に残された豊かな自然を保つ川が近くにあります。

 いつも暇というわけではないのですが、友人からは暇人と敬称されています。
「暇人」である僕は、春が来て植物が芽吹き、生き物たちが活発になってくる頃になると、どこか行きたい!
と思うようになるのです。
場所は自然のあるところならどこでもいい、体がうずき、無性にどこかに行きたくなるんです。
 そんな時、僕はよく自転車で野川に向かいます。
一人のときもありますが、妹も一緒に行きたがるのでよく連れて行きます。

 事前にペットボトルで簡単につくったセルビンと呼ばれる小魚捕獲用トラップ、タモ網、小型クーラーボックス、ちょっとした昼食を用意すると、いざ出発。

 自転車で15分ほどかけると野川につきます。
橋から川を見下ろすと・・・、薄茶色に濁った水の中でキラキラと光るものが動き回っています。
太陽の光を反射させて小魚たちが泳ぎまわっているようです。
 
 自転車を近くに止めると、僕ら二人は急いで水車小屋の横の階段を下りて、網を手に川に入ります。
野川は、湧水を集めて流れる川ですが、さほど冷たくはありません。
むしろ暖かいことのほうが多いので、清涼感はともかくとして、結構長い間水に浸かっていることができます。

 小さなクーラーボックスに決まって最初に入るのは、捕獲難易レベル・超初級のエビ。
護岸に使われている大きな石の裏側を網で引っかくと、ざっと10匹くらい入ります。
夢中で捕っては入る動作を繰り返しているうちに、いつの間にかボックスの中がエビ天国になっていることもしばしばです。

 自分で言うのも変ですが普段から子どもっぽい僕は、魚とりとなる真剣になってしまいさらに子どもっぽくなってしまいます。
「それっ、メダカの大群がそっちに向かった!」
「むこうから追い込んで!挟み撃ちするから。」
「とりぃゃっ。」
「おっ、捕れた!・・・・・・・あれ、入ってないじゃん・・・。」

 魚の集まる絶好のポイントがあって、大きな渡り石のあたりなど比較的深くなっている「淵」に仕掛けのセルビンを投げ込みます。 
 しばらく別なところで網での魚とりに熱中して、仕掛けたセルビンの糸をたぐり寄せると・・・残念、
何も入っていない時もあれば、ボトルの中でウジャウジャと動き回っている大量のときもあります。
 糸を引くときにアタリかハズレかというなんともいえない感じがいいですね。
大量のときはそれはうれしいです。

 自然の中でこのように遊んでいると時間を忘れて気がつくと2時間、3時間が普通に過ぎていきます。
 自然は僕たちに何か感じさせるものを絶えず投げかけ、またその中にいると飽きることがありません。
そして何よりも、自然は人間を支えている必要不可欠なものです。
川だってそうです。
 野川も昔から変わらず多くの人々の生活を支えています。
野川のあたりからは旧石器時代から縄文時代にかけての遺跡や土器が数多く発掘されています。
そんな昔から人々の生活に豊かな恵みを与え、なくてはならないものであったことがわかります。
 
 皆さんも近くに川があったら、その川のちょっとした自然に目を向けてみてください。
コンクリート三面張りでいったいこの川のどこに自然があるんだ、と思うような川でもよく探せばなにか見つかるはずです。
そこには今まで気がつかなかったことや、ちょっとした発見があります。
 川という自然に触れることで、植物も動物も虫も川もみんな生きているんだということを実感することができると思います。
実感できたら自分も生きているんだなぁ、と生きる希望も湧いてきます。